2011年4月5日火曜日

第5章 密約

地球人専用居住区コロニーの中心部にそれはあった。火星人達の政治、経済、軍事、科学の中枢機関“コア”である。
そこでは火星の王を中心に政治、経済、軍事、科学の元老達が極秘会議を開いていた。
「計画はうまくいっちょるかいのぉ?」火星の王であるビールカが軍事最高責任者のスーローに聞いた。
「なーんば言いよっとですか?あんゴリラ達ば洗脳し始めて1年が経つとですばい。もちっーとしたらくさ、あんた、あげな下等動物ごたあ輩はすぐに奴隷ですばい。」自信満々にスーローは答えた。
「けんども、わだすの見だどころによるど、まんだ充分に洗脳さされでねぇ人間どももおるんではながろうが?」政治の最高責任者のノーミがそう言うと、すぐに経済の最高責任者のターンが返した。「なんくるないさぁ!あのゴリラどものオジイとオバアはすぐにボケて死ぬよぉ!洗脳の効かない若いもんは外に出して強制労働させるさぁ!」

すると科学の最高責任者のモーホルンがゆっくりと口を開いた。「王様!そして元老達よ!我々チーカ星人が地球に潜入して3000年。地球人どもの生態を調べ、研究する内に何人かの仲間が捕まり、火星人だとか、リトルグレイだとか勝手にあだ名を付けられ、逆に研究された者もおります。しかし、我々の圧倒的な文明と頭脳で地球の政治の中枢に潜入し、後進国くじ引き首脳会談を実現させ、奴らの単純な習性を利用して地球を滅亡に追い込み、アメリカ大統領と密談を交わし、3000万人のモルモット達をこのチーカ星に連れてくる事に成功しました。」するとせっかちな軍事最高責任者のスーローが遮った。「そしたらあんた、よかろうもん?なぁんが不満とね?万事うまいごといっとうたい!そやろも、みんな!みんなはどげん思うね?」、、、、、、ゆっくりとモーホルンが返す。
「それが問題だといってるんだ!3000年を費やして地球人の生態を研究し尽くした結果がこれだ!!各省庁ごと勝手に世界中に飛び散って、勝手にそこに解け込んで、勝手に独自の研究を進めた結果、どうです皆さん!何ですかこの激しい方言は!?それも示し合わせたような日本限定の!!」
全員が一斉に顔を見合わせた。「そねぇおかしいかのぉ?」「そげなことなかですばい!」「まんずいいでないがい?」「ちょっちゅねぇ!」
ゆっくりとモーホルンが続けた。「王様!そして元老達よ!今からこのチップを後頭部に差し込んで下さい。」そう言って1ミリ程の小さなチップを差し出した。「なんならぁそらぁ?」「なんねその小さかとは?」「まんずなんだべさ?」「ハブのうろこじゃないよねぇ?」みなは不思議そうにそのチップを見た。
「これは、全宇宙の言葉を東京弁に翻訳する超小型翻訳チップです。宇宙1の科学力を誇る我々チーカ星人が方言を、それも地球の辺境の日本限定の方言を勝手に喋るなどと、、、こんな恥ずかしいことは今後やめていただきます。」
全員しぶしぶそのチップを後頭部に差し込んだ。「なんで東京弁なんかのう?」「つやぁつけてモーホルンも東京かぶれしとうっちゃないとや?」「いい奴だども、とがいかぶれするどこがたまぬつづってが!」「ハイサァイ!」

会議再開。

「それでは、軍事最高責任者のスーローから今後のスケジュールについて説明してくれ!」王様の広島弁は完全に治っていた。
「はっ、王様!現在のところ洗脳は80%程度完了しております。あと半年もあれば全て完了する予定です。」スーローが答えると政治の最高責任者ノーミが質問した。「スーロー元老!聞くところによるとその洗脳も完全なものではなく、ごく稀に聞かない場合もあるそうじゃないですか?」するとすぐさまスーローが返す。「ノーミ元老!さすがですな。その通り、この洗脳方式では人体への副作用が無い反面、ごく稀に洗脳できないタイプの人間も出てきます。しかし心配後無用。そんな奴らは殺して動物の餌にしちゃいますから。ハッハッハッハッ。」スーローが高笑いをして続けた。
「そして完全に洗脳が終わると男達は訓練をして宇宙最強の肉弾戦部隊を作り上げます。なにせ我々銀河系の高等生命体は頭は良いのですが、力がからっきしでして。その点、あの下等な地球人どもは頭はアンポンタンですが体は強く、鍛えれば更に強くなるという特性を持っております。これで万が一、我がチーカ星に異星人が侵攻してきてもあのアンポンタンどもで作った軍隊で一掃できるというものです。カッカッカッカッ。」スーローがパターンを変えて高笑いをした。
「そうか、さすがスーロー元老!抜かりはないようじゃな。」王様は満足げであった。次に政治の最高責任者ノーミが口を開いた。「王様!あの大統領を初めとする地球の政治家や金持ちどもはいかがいたしましょう?」すると王様は「えっ?あれ何かするの?あれどうなってるの?」ととぼけた。すかさずノーミが続けた。「当初の王様と地球人の大統領の密約では、①大統領が勝手に選んだ3000万人の内、大統領の息のかかった1000人は洗脳しない。②洗脳が完了したらこの地球人専用居住区のコロニーに大統領を国家元首とした地球人自治による国家を建設する。③地球人のギャル達は全て大統領の所有物とする。この3つを条件に地球人の男どもを我々の軍隊として提供するというものでした。」
「あっ!そうかそうか!そんなこと言っとったなぁ。それでどうするんじゃ?」王様はすっとぼけた。
「地球人どもが我がチーカ星に移住して1年が経ちます。チンキー大統領もそろそろ自治政府の事を聞いてきます。まだ洗脳が完全ではないので、今しばらく待ってもらっていますが、そろそろ具体的に国家建設の話を進める時期かと思います。」ノーミがそう言うと王様が突然!!「1000人まとめて殺せばいいじゃん!ねぇみんなぁ!」チーカ星人に表情は無いが、多分かなり悪い顔で言い放った。
静まり返った室内で地球人大虐殺計画が始まろうとしていたのである。

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