2011年4月29日金曜日

第7章 決意

「“ブビュグヮァン”」クーポがダイルの部屋のチャイムを押した。
暫らくすると「ガチャッ」とのぞき窓が開いて、中から例の大男ダイルがこちらを見ていた。
「どなたですか?」ダイルの間の抜けたもっさりとした声が響いた。
「いやぁ!俺はクーポってんだが友達になりたくてな!そんで遊びに来たわけだ!ちょっと開けてくんねえか?」
少し考えた後で「ウィーン」とドアが開いた。「どうぞ。」ぶっきらぼうにダイルがクーポ達を招きいれた。

「やあダイル!改めて自己紹介だ!俺はクーポ!地球では軍人をしてた。武器マニアでありとあらゆる武器を扱える特技の持ち主だ!よろしくな!」そういって手を差し出したがダイルはその手をじっとみたままだった。
「おう!俺はフービー!同じく軍人で、戦闘機、戦車、潜水艦、ヘリ、、、乗り物なら何でも扱える特殊部隊のエースパイロットだ!よろしくな!」フービーの差し出した手もただ眺めるだけのダイルだった。

「まあいいや!単刀直入に聞く!」フービーが切り出した。
「あんた、ジータンのパパのオシートを知ってるか?」ダイルは顔色1つ変えずに首をひねった。
「じゃあ!質問を変えよう!あんたはあのヘンテコリンな体操で洗脳されてないよな?」ダイルの右の眉がピクリと動いた。しかしダイルは又も顔色を変えずに不思議そうな顔でフービーを見ているだけだった。
「そっかぁ!分かった!じゃあ自己紹介してくれ、ダイル!友達になるにはまず自己紹介しなくちゃな!」やさしくフービーが言うとゆっくりとダイルが喋り始めた。
「私の名前はダイルです。毎日、体操してご飯たべて、散歩して、幸せです。」間の抜けたもっさりした声だった。

「どうやら俺達の思い違いだったみたいだな、フービー!こいつはマジで洗脳されてやがる!だいたい何の手がかりも無しにまともな奴探す方がどだい無理なんだよ!俺達だけでオシート探しすんべ!なあ相棒!」諦め口調のクーポだった。
「そうだな!そうするか!相棒!」諦めてフービーがドアの方に歩いて行こうとすると、、、
「待て!」ドスの効いた低い声がフービー達を引き止めた。声の主はダイルだった。
「フービーとクーポと言ったな!」ニヤリと笑いその大男は二人に握手を求めてきた。
「洗脳されたフリしてて悪かったな。ここじゃあ誰も信じられないんで取り合えずお前さん達を試させてもらった。」
ダイルがクールな低い声でそう言うと、フービーとクーポもニヤリと笑って3人は握手をした。

「お前さんたちが探してるオシートは確かに俺達の仲間だ。しかし奴は連行されても消されてもない。自分から出て行ったんだ。」ダイルがゆっくりと話し始めた。
「お前さんたちは何にも知らない様だから、俺達が知ってる事をまず、教えよう。」そういってダイルは知ってること全てをフービーとクーポに話した。

地球滅亡も火星移住も全ては火星人どもが裏で仕組んだ事。大統領もその一味で、自分の独裁国家を建国する為に自分の周りのイエスマンを除いて残りの人類を洗脳する事に同意した事。洗脳した人類の男たちは訓練の後、火星人どもの為に兵士として働かされる事。火星人は力が無い為、火星全体に重力、空気、海など地球に似た環境を化学的に作り上げて自分達を進化の過程で地球人並みの強靭な体に作り変えようとしている事。コロニーにはフェンスも何も無いので出入りは自由な事。しかし、外界は空気があるとはいえ、100キロ以上に渡り砂漠地帯であるため、コロニーから出ることは自殺行為である事。しかし、コロニーの外のどこかに火星人どもの軍事基地がある事。等等、、、

「なるほど、、、でもあんたが何でそこまで知ってるんだ?」フービーがダイルに問いただした。するとダイルは「実はジータンのパパ、つまりはオシートはペンタゴンの最高機密責任者だったんだ。だから今回の火星移住計画も、火星人による洗脳計画も全て知ってたんだ。そして、地球で捕獲したリトルグレーから、火星の環境を地球に似せて進化を科学的に操る事。それまでは地球人を兵士として使う事。火星にはコロニーのコアとは別に強大な軍事基地がある事。なんかを聞き出していたんだ。」
「だったら何でオシートは地球人特別保護区じゃなくて俺らと同じとこにすんでんだ?」クーポがダイルに聞いた。
「当然、ペンタゴンの最高機密責任者のオシートは地球人特別保護区に住むハズだったんだが、来る途中のスペースシップの中で、大統領と些細なことで口論になって、そのまま俺達と同じ居住区に放り出されたってわけだ。」
「些細なことってなんだ?」フービーがダイルに聞いた。するとダイルは「さぁ、それは誰にも教えてくれないんだよ。」
両手のひらを上に向け、アメリカ人特有の“知りませーん”ポーズをした。
「じゃあここからが核心だが、洗脳されてない仲間は何人いる?オシートは何の為にジータンに内緒で、なぜ自らコロニーを出た?」フービーが身を乗り出してダイルに聞いた。
「仲間はいない。俺とオシートだけだ。お前さん達の様に偶然洗脳されていない奴らは俺の見たところざっと10人位だったな。いなくなったのはたまたま洗脳されなかったバカどもが計画無しに出て行っただけだ。だから地下組織もなにもねえ。2つ目の質問だが、オシートがジータンに内緒で出たのはジータンの身の安全の為だ。オシートはジータンと妻のマータの安全を考えて、あえて洗脳の事を教えず洗脳されるようにしたんだが、なぜかジータンだけは洗脳されなかった。だからジータンには皆は病気だから話をしないように言い聞かせてリトルグレーの軍事基地を探しに一人で出かけたんだ!基地が見つかれば何らかの方法で俺に連絡が来る。」ゆっくりと立ち上がってダイルが言った。
「も1つ聞くがなぜお前は洗脳されずに済んだんだ?バカだからか?リズム音痴だからか?」クーポがダイルに聞いた。
「ハッハッハッ!こりゃ傑作だ!」大笑いしながらダイルが答えた。「そうか!お前さんたちが洗脳されなかった理由がそれか?ハッハッハッハッ!」笑いが止まらないダイルにクーポが言った。「お前だって見たらかなりのリズム音痴だったぞ!テンポも全然ずれてるし!」するとダイルがポケットから何かを取り出した。「これだよ!」見るとそれは耳栓だった。「何にしろお前さん達が俺を訪ねて来たのはビンゴだったな。俺は人を信用しないんだが子供を大切にする奴に悪い奴はいないってのが死んだ爺さんの口癖だったもんでな。お前さん達がジータンの為にオシートを探すって聞いたとき、
俺はお前さんたちを信じたんだ、、、、で、これからどうする?俺はオシートからの連絡をここで待つつもりだが、、、、、、、、」
「俺は行くぜ!」とクーポ。「俺も待つぜ!」とフービー。同時に言った後、3人は延々話し合いをした。
1つはっきりした事はジータンがリズム音痴だという事だった。

2011年4月8日金曜日

第6章 失踪

タンタッタラーズンパッパパラー!!
「なあ!クーポ!隣の列の先頭の奴、ここんとこ何日も顔を見ねえと思わねえか?」朝のルポポゾックゥワギュフェ体操をしながらフービーがクーポに言った。
「ピンポーン!大正解!だが奴だけじゃねえぜ!俺が分かるだけでも8人はいなくなってやがるぜ!」クーポもそう返した。そして体操が終わり、各々が自分達の部屋へ帰っていった。勿論、フービーとクーポも。
「“ブビュグヮァン”」相変わらず慣れない音でクーポ達の部屋のチャイムが鳴った。
「誰だ?最近はみんな洗脳されちまって俺らの部屋を訪ねる奴なんていなかったのに。」クーポが怪訝そうな顔でフービーを見た。「取り合えず開けてみろよ。」フービーがクーポにそんな目配せをした。
「ウィーン」部屋の自動ドアが開くとそこには小さな女の子が立っていた。
「こりゃあ可愛らしいお客さんだ!」一瞬驚いたクーポが続けた。「どうしたお嬢ちゃん、俺達に何か用かい?」
「パパを探して!御願い!」小さな女の子は愛くるしい目をうるうるさせながらクーポにそう言った。
「何かキナ臭い臭いがプンプンするなぁ!相棒!」クーポはフービーにそう言って小さな女の子を部屋に入れ、事情を聞くことにした。

女の子の話を整理するとこうだ。
少女の名前はジータン。10日前に父親が突然姿を消した。母親に聞いても母親は気に留める様子も無くいつも通りの退屈な日課をこなすだけ。
最初は仲の良かった友達やその親たちも一向に知らん顔。どうしようもなく途方に暮れてたところフービーとクーポがルポポゾックゥワギュフェ体操の帰り道、いつも何か楽しそうに会話してるのを見て、この人達なら話を聞いてくれるかもしれないと思いここを訪ねたというわけだ。
「お嬢ちゃん!いやジータンっていったっけな。ジータンはパパやママと毎日お話してたのかい?」フービーが優しい声でジータンに問いかけた。「ジータンね、パパとはお話してたけどママとはお話してないの。パパがね、ママはお話出来ないお病気になったからお話しちゃあいけないって。ママだけじゃなくてみーんなみーんなお話出来ないお病気になっちゃったからお話しちゃいけないって。お部屋でパパとだけお話してたの。でね、、、」堰を切ってジータンが話し始めた。
「分かった分かった。じゃあそのお話出来ない病にかかってないのはジータンとジータンのパパとこのお兄ちゃん達だけって事かな?」フービーが優しく聞いた。「ううん!」横に首を振って続けた。「プラルもだよ!」笑顔でジータンが答えた。
「でもね、パパやプラルがお病気にかかってない事は内緒なの。人に話すとお病気になっちゃうんだって。だからジータンもパパとプラルとしかお話しないの。お兄ちゃん達はお病気じゃないんでしょ?だったらパパのお友達なんでしょ?だからパパを、、、、、、探して!おねがい!」今度は泣きそうになるのを必死でこらえて訴えてきた。
「よーし、ジータン!お兄ちゃん達がパパを探してあげよう!」笑顔でフービーが言った。

ジータンが帰ってフービーとクーポは話を整理した。
「火星にやってきて1年が過ぎた。見たところほとんどが洗脳されてるが、俺達を含めて何人かは全く洗脳されていない。
その洗脳されていない何人かのグループが何らかの組織を作っていると見て間違いなかろう。」フービーがそういうとクーポが続けた。「ところが、何かの拍子にジータンのパパやグループの何人かが全く洗脳されてないのが火星人どもにバレて連れて行かれた、若しくは消されたってことだ。」
「まずは洗脳されてないグループの残りを探すのが先決だな!だがどうやって探すかだ。仲間が何人もいなくなった今、相当警戒してるにちがいない!」フービーがそういうとクーポが「ジータンの言ってたプラルって奴はどうだ?奴がいなくなったとは言ってなかったぞ!」右の拳を左の手のひらにパァンとぶつけてドヤ顔でフービーを見た。
「プラルはジータンの持ってたサルのぬいぐるみの名前だ。ぬいぐるみの腹に思いっきりそう書いてた。」フービーは冷静に言った。

次の日から洗脳されていないグループの捜索が始まった。
「いったいこの大人数の中、どうやって探すんだよ?クーポ!てめえは大バカなんだから何か臭うんじゃねえか?おんなじ大バカの臭いがよぉ!」ルポポゾックゥワギュフェ体操をしながらフービーがクーポにそう言うと、、、
「いたっ!いたぞ!間違いない!あいつだ!」クーポが指差した。
「さすが!本当にバカはバカ同士で何かそういうテレパシーみたいなもんがあるんだな!」フービーが嬉しそうにそう言ってクーポの指差す方を見ると、そこには身長2メートル体重150キロはあろうかというヘラクレスのような大男が明らかに他とは1テンポ以上遅れたり、時には早かったり、時にはリズム無視でルポポゾックゥワギュフェ体操をしていた。それを見るなりフービーが嬉しそうに言った。
「たしかにバカっぽいな!よし、ルポポゾックゥワギュフェ体操が終わったらあいつの部屋に行ってみよう。」
彼の名はダイル。地球ではプロレスの世界チャンピオンであり、その超人の様な体に似合わず遺伝子工学の博士号を持つ
エリートでもある。

2011年4月5日火曜日

第5章 密約

地球人専用居住区コロニーの中心部にそれはあった。火星人達の政治、経済、軍事、科学の中枢機関“コア”である。
そこでは火星の王を中心に政治、経済、軍事、科学の元老達が極秘会議を開いていた。
「計画はうまくいっちょるかいのぉ?」火星の王であるビールカが軍事最高責任者のスーローに聞いた。
「なーんば言いよっとですか?あんゴリラ達ば洗脳し始めて1年が経つとですばい。もちっーとしたらくさ、あんた、あげな下等動物ごたあ輩はすぐに奴隷ですばい。」自信満々にスーローは答えた。
「けんども、わだすの見だどころによるど、まんだ充分に洗脳さされでねぇ人間どももおるんではながろうが?」政治の最高責任者のノーミがそう言うと、すぐに経済の最高責任者のターンが返した。「なんくるないさぁ!あのゴリラどものオジイとオバアはすぐにボケて死ぬよぉ!洗脳の効かない若いもんは外に出して強制労働させるさぁ!」

すると科学の最高責任者のモーホルンがゆっくりと口を開いた。「王様!そして元老達よ!我々チーカ星人が地球に潜入して3000年。地球人どもの生態を調べ、研究する内に何人かの仲間が捕まり、火星人だとか、リトルグレイだとか勝手にあだ名を付けられ、逆に研究された者もおります。しかし、我々の圧倒的な文明と頭脳で地球の政治の中枢に潜入し、後進国くじ引き首脳会談を実現させ、奴らの単純な習性を利用して地球を滅亡に追い込み、アメリカ大統領と密談を交わし、3000万人のモルモット達をこのチーカ星に連れてくる事に成功しました。」するとせっかちな軍事最高責任者のスーローが遮った。「そしたらあんた、よかろうもん?なぁんが不満とね?万事うまいごといっとうたい!そやろも、みんな!みんなはどげん思うね?」、、、、、、ゆっくりとモーホルンが返す。
「それが問題だといってるんだ!3000年を費やして地球人の生態を研究し尽くした結果がこれだ!!各省庁ごと勝手に世界中に飛び散って、勝手にそこに解け込んで、勝手に独自の研究を進めた結果、どうです皆さん!何ですかこの激しい方言は!?それも示し合わせたような日本限定の!!」
全員が一斉に顔を見合わせた。「そねぇおかしいかのぉ?」「そげなことなかですばい!」「まんずいいでないがい?」「ちょっちゅねぇ!」
ゆっくりとモーホルンが続けた。「王様!そして元老達よ!今からこのチップを後頭部に差し込んで下さい。」そう言って1ミリ程の小さなチップを差し出した。「なんならぁそらぁ?」「なんねその小さかとは?」「まんずなんだべさ?」「ハブのうろこじゃないよねぇ?」みなは不思議そうにそのチップを見た。
「これは、全宇宙の言葉を東京弁に翻訳する超小型翻訳チップです。宇宙1の科学力を誇る我々チーカ星人が方言を、それも地球の辺境の日本限定の方言を勝手に喋るなどと、、、こんな恥ずかしいことは今後やめていただきます。」
全員しぶしぶそのチップを後頭部に差し込んだ。「なんで東京弁なんかのう?」「つやぁつけてモーホルンも東京かぶれしとうっちゃないとや?」「いい奴だども、とがいかぶれするどこがたまぬつづってが!」「ハイサァイ!」

会議再開。

「それでは、軍事最高責任者のスーローから今後のスケジュールについて説明してくれ!」王様の広島弁は完全に治っていた。
「はっ、王様!現在のところ洗脳は80%程度完了しております。あと半年もあれば全て完了する予定です。」スーローが答えると政治の最高責任者ノーミが質問した。「スーロー元老!聞くところによるとその洗脳も完全なものではなく、ごく稀に聞かない場合もあるそうじゃないですか?」するとすぐさまスーローが返す。「ノーミ元老!さすがですな。その通り、この洗脳方式では人体への副作用が無い反面、ごく稀に洗脳できないタイプの人間も出てきます。しかし心配後無用。そんな奴らは殺して動物の餌にしちゃいますから。ハッハッハッハッ。」スーローが高笑いをして続けた。
「そして完全に洗脳が終わると男達は訓練をして宇宙最強の肉弾戦部隊を作り上げます。なにせ我々銀河系の高等生命体は頭は良いのですが、力がからっきしでして。その点、あの下等な地球人どもは頭はアンポンタンですが体は強く、鍛えれば更に強くなるという特性を持っております。これで万が一、我がチーカ星に異星人が侵攻してきてもあのアンポンタンどもで作った軍隊で一掃できるというものです。カッカッカッカッ。」スーローがパターンを変えて高笑いをした。
「そうか、さすがスーロー元老!抜かりはないようじゃな。」王様は満足げであった。次に政治の最高責任者ノーミが口を開いた。「王様!あの大統領を初めとする地球の政治家や金持ちどもはいかがいたしましょう?」すると王様は「えっ?あれ何かするの?あれどうなってるの?」ととぼけた。すかさずノーミが続けた。「当初の王様と地球人の大統領の密約では、①大統領が勝手に選んだ3000万人の内、大統領の息のかかった1000人は洗脳しない。②洗脳が完了したらこの地球人専用居住区のコロニーに大統領を国家元首とした地球人自治による国家を建設する。③地球人のギャル達は全て大統領の所有物とする。この3つを条件に地球人の男どもを我々の軍隊として提供するというものでした。」
「あっ!そうかそうか!そんなこと言っとったなぁ。それでどうするんじゃ?」王様はすっとぼけた。
「地球人どもが我がチーカ星に移住して1年が経ちます。チンキー大統領もそろそろ自治政府の事を聞いてきます。まだ洗脳が完全ではないので、今しばらく待ってもらっていますが、そろそろ具体的に国家建設の話を進める時期かと思います。」ノーミがそう言うと王様が突然!!「1000人まとめて殺せばいいじゃん!ねぇみんなぁ!」チーカ星人に表情は無いが、多分かなり悪い顔で言い放った。
静まり返った室内で地球人大虐殺計画が始まろうとしていたのである。

2011年3月29日火曜日

第4章 コロニー

ここは火星の地球人専用居住区のコロニーである。
西暦2300年7月に地球を出発した1000隻のスペースシップで2億3千万キロ離れた火星に3ヶ月かけて到着した3000万人が新たな生活を始める場所である。もちろんアメリカ大統領チンキーと国務長官ムーラのさじ加減で選ばれた3000万人の地球人である。というより正確には3000万人のアメリカ人である。

コロニーの中はドーナツ状に建物が配置されており、移住者にはそれぞれID番号が付けられ、そのID番号ごとに部屋が与えられた。
「何だこの部屋は?何かでっけぇカプセルホテルみてえだな。」クーポはフービーにそう言った。
「だが、広さといい設備といい、軍の宿舎とは大違いだぜ。俺は気に入ったね。」フービーがそう答えると部屋のスピーカーから聞き覚えのある声がした。
「我が親愛なるアメリカ合衆国の皆様!私は大統領のチンキーです。本日火星時間の午後1時より重大なお知らせがありますので、コロニー中央広場にお集まり下さい。」

「すげえ数の人間だな!一体何人いんだ?なぁフービー! おっ!大統領が出てきたぞ!」クーポがそういって指を指した先にはアメリカ大統領のチンキー、国務長官のムーラ、そして何と火星人、あのリトルグレーが立っていた。

「我が親愛なるアメリカ合衆国の選ばれし諸君!私が今からいう事をしっかりと受止めて欲しい。」大統領は続けた。
「実は我々が地球を出発した1ヵ月後の8月に地球は滅亡しました。」大統領がそう言うと一斉にどよめきが起こった。
「地球が滅亡ってどういうことだ?じゃあ残された人達は?第2陣、第3陣でやってくる人達はどうなったんだ?」
3000万人が一斉に騒ぎ立てた。それもその筈、予定では今後1年かけて全人類の半分が火星に移住する事になっていたのだ。
「皆さん、ご静粛に!どうかご静粛に願います。」国務長官のムーラが3000万人を制する。続けて大統領が口を開く。
「皆さんもご承知の通り、世界くじ引き首脳会談が8月に北朝鮮で開催されました。どうもその席で酒に酔った勢いで金正月総書記が核ミサイルのボタンを押したのではないか?との推測がなされてます。何しろもう地球は跡形もなく吹っ飛んだものでして、調査のしようもないのです。」参った参ったペチペチとおでこを叩く大統領。
「ですからここにいる皆様が地球最後の生存者なのです。皆様はアメリカ合衆国を代表する各方面のスペシャリストです。そして我々地球人の総人口は3000万人。つまり、ここにお集まりの皆さんが今後の地球人の未来を作るのです。」
大混乱のなか大統領の演説は終わり、地球から火星に移住してきた3000万人の生活がスタートした。

「おい!フービー!」リビングのソファから立ち上がったクーポが窓の外を見て言った。
「ここから出ねえか?」まじめな顔でフービーを見た。
「出てどうすんだ?何か当てがあんのか?毎日退屈だが、飯は配給されるしそれなりに不自由はないぜ。相棒!」
「てめぇはいつもあのルポポゾックゥワギュフェ体操だきゃ我慢ならねえって言ってるじゃねえか?そうだろ?フービー!」クーポがフービーに詰め寄る。
「まあまあ落ち着けよ、なあ相棒!」そうなだめると冷静にフービーが続けた。
「あのルポポゾックゥワギュフェ体操は一種の洗脳だ。約300年程前に北朝鮮で洗脳教育の一環として全小学生以下を対象にやってた律動体操の進化系だ、ありゃ。」
「なんだと?じゃあ俺達は今洗脳されてる最中って事か?おいフービー!」興奮気味にクーポが言った。
「ああ、間違いない。その証拠に地球滅亡の話を聞いてから1ヶ月も経たないでみんなおとなしくなっただろう?
おまけにこっちに来て1年も経つのに誰も働かねぇ。そしてそのことに誰も疑問を持たねえ。おまけにあのクソ銀色チビどもがコロニー内を歩き回っても誰も違和感を唱えねえ。そんでもって政治家や金持ちどもが明らかにいいとこに住んで、いいもん食っても誰も何にも言わねえ。毎日ルポポゾックゥワギュフェ体操を朝昼晩やって3度3度の食糧配給の生活で幸せを感じてやがる。こりゃ俺達はあのクソ銀色チビどもの研究対象なんだよ。」
「じゃあ何でここにいんだよ?それだけ分かっててなんでだ?おいフービー!それならなおさらここを出ようぜ!」
興奮するクーポにフービーは諭すように言った。
「まあ落ち着け。ここは食料も水も空気も重力もある。だがコロニーの外はどうだ?お前分かるか?あのクソ銀色チビどもは地球では生きていけたが俺達は火星で生きていけるか?それが分かるまではここで洗脳されたフリをしてるんだ。いいな!相棒。」
「1つ分からない事があるんだが、、、」クーポがフービーに聞いた。
「みんなが洗脳されてるって言ったよなぁ?じゃあ何で俺達は洗脳されてないんだ?おかしかねえか?」
「いい質問だクーポ。答えは簡単。お前が根っからのバカだからだ。あのルポポゾックゥワギュフェ体操には複雑な暗号が幾つにも組み合わさってインプットされてる。つまりは人間の思考の深層心理に脳のシナプスを経由して電気信号として徐々に伝達されるようようプログラミングされてるんだ。」フービーがそう言うとクーポが遮った。
「何言ってんだ?もっと分かりやすく説明しろよ!!」するとフービーが半笑いで続けた。
「なっ!要はそうゆうことだ。この程度の話も理解できない程バカだからお前は洗脳されないんだ。」
「じゃあいいよ!じゃあ俺が100歩しゃがんでバカだとしよう。じゃあてめえはなんで洗脳されないんだ?てめえもバカって事だろうが?ああ!」そういうクーポにフービーがゆっくり答える。
「第一に、100歩しゃがんでじゃなくて100歩譲ってだ。第2に、おれはリズム音痴なんだ。あのリズムに全く付いていけないんだ。あのルポポゾックゥワギュフェ体操はリズム通りに踊って初めて洗脳効果が出る。」自信満々にフービーが答えた。

2011年3月23日水曜日

なごみで

なごんでます。

今から股関節見て、もらいます。

2011年3月18日金曜日

第3章 火星移住計画

世界くじ引き首脳会談が開かれ始めた頃、ワシントンD.Cでは極秘の計画が進行していた。火星移住計画である。
「核の抑止力も無くなり、世界経済は中国が牛耳るようになり、後進国では怪しげな会談が執り行われている昨今、
このアメリカが再び世界の指導者になるにはもはや火星移住しかありません。」アメリカ国務長官のムーラが切り出した。
「地球の温度はワシントンD.Cでも夏は55度になるし、エネルギーも食料もこのままではあと10年も持ちません。なんとしてでも、、」そう続けたムーラ国務長官の言葉を遮ってアメリカ大統領のキンチーが重い口を開いた。
「昨日、中国の温暖化首相と電話で話した。この地球的危機をどう乗り切るか会談を持ちたいと言ったんだが、、、温暖化首相の答えはこうだった。(地球あつくないよ!アメリカ人暑がりね!私寒いくらいよ!バブル絶好調!コピー商品最高!北朝鮮核ミサイルいっぱいアルヨ!シェーシェー。)」

「大統領!彼はアホですが口も相当軽いです。温暖化首相の言葉が事実であれば北朝鮮の核ミサイルがいつ発射されても
おかしくありません。早急に火星移住計画を実行に移しましょう。」ムーラが強い口調で大統領に詰め寄った。
「そうだな、、、、、、。実はもう計画は99%完了してるのだよ。火星人のリトルグレーが我々の住むコロニーを建設してくれてるんだよ。しかし、、、、、」口をつぐんだ大統領にムーラが「しかし何ですか?それならすぐにでも世界中に呼びかけて移住を始めましょう。大統領!」すると大統領のチンキーが重い口を開いた。
「実は移住できる人口は3000万人だけなんだよ。火星のコロニーのエネルギー、空気、水、食料、これらを考えると3000万人が限界なんだよ、ムーラ国務長官。完了してない1%というのはこの3000万人をどうやって決めるかという事なんだよ。」
そういうとムーラがすぐさまこう切り出した。「そのことは誰が知っていますか?私達2人とリトルグレーの長老以外に?」
「いいや知らんよ。我々3人だけだ。」チンキーはムーラにそう告げた。

1時間の重い沈黙が流れた。どちらからとも無く顔を見合った。そして同時にこう言い放った。
「ラッキー!!2人で勝手に決めちゃえばいいじゃん!!ヒャッホー!!」
こうしてアメリカ大統領チンキーと国務長官ムーラの独断と偏見で火星に移住する3000万人は極秘に選別された。
政治家、軍人、俳優、歌手、コメディアン、科学者、様々な職業の選抜された白人や可愛いギャル達、、、
そう、2人とリトルグレーの長老によるさじ加減で3000万人は決まったのである。
もちろん、この中にクーポとフービーもなぜか入っていた。オタクというカテゴリ選抜で。

2300年1月、ホワイトハウスに1本の電話が入った。電話の主はイギリスのボン首相だった。
「チンキー大統領。お元気ですか?私は元気です。ありがとう。」イギリス紳士らしい教科書通りの挨拶で始まった。
「ところで、今年の世界くじ引き首脳会談は北朝鮮で開催されるそうですよ。あの見栄っ張りな金 正月が何かやらかさないといいんですがね!」ボン首相がこう続けると。チンキー大統領はこう返した。
「そうですね。そうでなくても地球は今未曾有の経済、食料、エネルギー危機というのに、中国の温暖化首相は何の対策も講じないし、困ったもんですよ。」それも何食わぬ顔で。
「そろそろ我々欧米先進7カ国だけでも火星移住計画を本腰入れて実現しましょうよ。あの黄色いサルどもはこの破滅寸前の地球に置いてけぼりにして、ねえチンキー大統領!」悪い顔でボン首相が言った。
「そうですね。一刻も早く火星移住を実現したいものですな。」(お前も置いてけぼりじゃボケ)と心で呟きながらチンキー大統領が答えた。

「ムーラ国務長官!ムーラ国務長官!」チンキー大統領は急いでムーラを呼んだ。
「何でしょうか大統領?」ムーラが答えると、
「今、イギリスのボン首相と電話で話したのだが、今年の世界くじ引き首脳会談とかいう茶番は北朝鮮で開催されるらしい。開催が8月なので、あの金 正月のアンポンタンがトチ狂って核ミサイルのボタンでも押す前に移住を始めるぞ。」
「分かりました。では7月までに我々のさじ加減で選別した3000万人すべての火星移住を完了させます。」
こうしてクーポとフービーを含む3000万人は火星へと移住したのであった。

第2章 暴発

時は西暦2300年の地球まで遡る。
その年に行われた世界くじ引き首脳会談(先進国首脳会談に対抗して世界30カ国の後進国の首脳達がくじ引きで
開催国を選び、そこで行われるお国自慢の会合というよりパーティーである。)での出来事である。
2300年の開催国は北朝鮮であった。

酒に酔った北朝鮮の指導者 金 正月が言い放ったこの一言によって地球の歴史は大きく塗り替えられたのであった。
「皆さんのお国自慢はそろそろ飽きましたな。私の国の取って置きの自慢を皆さんにご披露しようではありませんか。」
「皆さん、これをご覧下さい。」一同はギョッとした。
今 会談が行われているパーティー会場の地下に並ぶ数千発はあろうかという核ミサイルのコレクションの数々。
「どうです?これが私のお国自慢ですよ。ボタン1つで全世界を火の海にする事だってできるんですよ。」
金 正月は酒に酔った赤い顔で、悪そうに微笑んだ。

「はっはっはっ、、、こ、こりゃ凄いですな!さすが金 正月総書記ですな!こりゃあ1本取られましたな。あははあはは。」
イラクのオサム バセイン大統領は引きつりながらお世辞を言った。
「そうですな。あははあはは、、、さすが金 正月総書記ですな。」出席した後進国の首脳達も声を揃えてお世辞を言った。
「そうでしょうそうでしょう。私がその気になれば世界なんてイチコロですよ。ワッハッハッハッ。」
勝ち誇ったように金 正月はカンラカラカラと高笑いをあげた。

出席した首脳達は一斉に酔いが醒めていた。それもそのはず、2200年の世界核拡散防止条約締結以来。100年の歳月を
かけて、世界は核廃絶に取り組んでおり。現在では核保有国は世界に存在しないのである。表向きは。
「本当にそうおもってるぅぅ?ねぇ?みんなぁぁ?」意地悪そうに金 正月は出席した首脳達に聞いて回った。
「勿論。思っていますとも!なあ みんな!!」インドのボガルムンバイ大統領がみんなに同意を求めた。

「ウグガルゥゥ、、、な、、、に、、、が、、、か、、、か、、、く、、、ミ、、サ、、、、」突如、後ろのほうから声がした。
「誰か何か言いましたかぁぁ?」金 正月は意地悪そうに聞き返した。
「だ、、、誰も、、な、、、何にも言ってません。言ってませんよねえ?ねえ みなさん?」震える声でトンガのゾウンババ大統領が引きつりながら答えた。
「そうでしょうねぇぇぇ。この世で私に逆らえる人なんていないんだからねぇぇぇ。カッカッカッカッ。」
金 正月がそう言うが早いか「なめるなよ!!クソボケがぁぁ!!」誰かが、今度ははっきりと叫んだ。
パーティー会場は水を打ったようにシーンと静まり返った。

カツカツカツ、、、会場の後ろのほうから鉄チップを靴底に打ち込んだ軍靴の音が会場の静まり返った空気を引き裂くように響いた。
「おう!正月!」北朝鮮の総書記であり、現在世界で唯一核ミサイルを数千発保有している狂気の独裁者に対しタメグチで意見する男が現れた。
大日本帝国の大統領 田茂見彰成であった。

なぜ日本が後進国かというと、2010年以降のアホな政治家どもの失政により、日本経済は完全に破綻し、世界最貧国グループにまでその地位を下げたのであった。
その後の国内の暴動を鎮圧したのが当時の自衛隊空軍幕僚長の田茂見彰であった。彼はクーデターにより政権を奪取。
国名も大日本帝国に戻し、独自の軍事独裁政権を作り上げた日本初の大統領なのであった。
つまり、今この世界くじ引き首脳会談に出席している男は大日本帝国初代大統領田茂見彰の子孫の田茂見彰成である。

「おう!正月!てめえは何か勘違いしてるんじゃねえか?ああん?喧嘩は両の拳と心と気合でするもんなんじゃい!核ミサイルだぁ?人民の苦しみも分からずのうのうと守られて生きてきたてめえにゃ喧嘩する勇気もねえか!」
「シーーーーーッバル、イーーーシェキ、モラゴ??」興奮した金 正月は朝鮮語で切れた。
「ほう!田茂見!じゃあお前は北朝鮮と、この金 正月と戦争する度胸があるのかい?」
「てめえがいくらボンクラでもそんだけの核ミサイルを撃ったらどうなるかぐれぇの事は分かるだろうよ!その上でこの大日本帝国と、この田茂見彰成と喧嘩してえってんなら俺あいつでも相手になるぜ!おお!なんなら今ここで素手ゴロでやってやってもいいんだぜ。坊ちゃんよぉ!」
しぃぃぃぃん。会場内はさらに静まり返った。終わった。出席者の誰もがそう思った。神に祈る者。祖国に電話する者。


「シーーーーーッバル、チュゴラァァァァァ!!!!!!」怒りに震える金 正月は核ミサイルの発射リモコン装置を手に取った。
「死ねぇぇぇぇぇ!まずはお前の日本だぁぁぁぁ!チョッパリヤァァァァァァァ!!!!!」そういって金 正月がリモコンの発射ボタンを押すその瞬間に、目にも留まらぬ早業の仕込み杖の居合いが金 正月のリモコンスイッチを真っ二つにした。
「あんまり大日本帝国軍人を舐めるんじゃねえぜ!俺の居合いは鉄砲の玉も切り捨てる早業だ!てめえの運動不足の指の動きなんざぁ止って見えるぜ。」
おおおおぉぉぉぉ。周りからどよめきが起こった。
「スバラシイ!スバラシイ!ヤマトダマシイ!ジャパニーズサムライ!フジヤマ!ゲイシャ!テンプラ!スシ!チョンマゲ!ソニー!ユニクロ!スモウレスラー!」各国の首脳達は田茂見彰成の勇気とその居合いの早業に拍手喝采した。

その時!ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォ!と地響きがして会場がグラッと大きく揺れた。
「パーボヤー!アホかぁ!お前は!なにさらしてけつかんねん?」突然 金 正月は耳慣れない大阪弁で叫んだ。多分過去に拉致して連れてきた大阪人から学んだのであろう。
「おまんの思い通りにならんからいうて大声出しても誰ももうおまんを助けてはくれんぜよ!おう正月。」田茂見彰成もつられて坂本竜馬ばりの土佐弁で答えた。
「違うねん!そやないねん!このリモコンスイッチは破壊したらあかんねん!壊したら全世界同時に全部の核ミサイルが発射されんねん!このイケズ!」混乱した金 正月は大阪弁に最後は京都弁も混じっていた。
チュドォォォォォン!!!地球はこうして滅亡した。

2011年3月17日木曜日

第1章 プロローグパート2

「分かった分かった。悪かったよフービー!元はと言えばあの時、あそこを出ようって誘ったのは俺のほうだし、、、。よし、俺がこいつを料理してやるよ!!まずは腹ごしらえだ!」
そういってクーポは右腰の52マグナムレーザーショックを気味の悪い怪獣に向けて3発ぶっ放した。
「ヒャッホー!やっぱ2200年式クラシックタイプのマグナムだぜ!まじでこのデカブツがイチコロだぜ。」
するとクーポは左腰から2180年式のコルトファイアーシュートを取り出し、続けざまに怪獣にぶっ放した。
ゴォォォォ、、、ジュワァァァァ、、、、まるで大型の火炎放射器の様な炎が一瞬にしてその不気味な怪獣をミディアムに焼き上げた。

その肉を口にしたとたんクーポが「ウッ、、、、。」
「どうした?クーポ!!」フービーが慌てて駆け寄る。
「ウッ、、、、、。ウ  マ  イ!まじうめぇぇぇぇぇぇ!フービー、お前も早く食え!まじうんめぇぞ!!」
「確かに旨い。これはコロニーの配給で出される$#x%:*の肉だな。」フービーも肉に食らい付く。
よほど腹が減ってたのであろう。その15メートルはあろうかという$#x%:*の丸焼きを2人は30分程で7割がた
食べつくした。残り3割は勿論この先の為の食料として携行する為ウェルダンに焼いてバッグに詰めた。

「でもよー、これからどっちに行くよ?飛び出して来たはいいけど軍事基地なんてどこにあんだ?」クーポはちらっとフービーを見た。
「知るかぁ!てめえが行こうって言ったからしぶしぶ来たんじゃねえか!俺のほうから1度でも出て行こうって言ったか?俺はもう少し様子を見ようって言ったよなぁ?ああぁ?」フービーがまた興奮してクーポを怒鳴った。
「まあまあそう怒るなよ!相棒!これも人助けの為、いや全人類の未来が俺達にかかってるんじゃないか!さあ気を取り直して、いざしゅっぱぁぁつ!!!」元気にクーポが歩き出す。
「へっ、やれやれ。あの能天気バカと一緒だと先が思いやられるぜ。」諦め口調でフービーがつぶやいた。
地球暦2302年、フービーとクーポの人類の存亡をかけた冒険が今、ドタバタと始まったのである。

2011年3月16日水曜日

「23XX年」 第1章 プロローグ

「なーんか全然釣れねーなー!」9角形の鉱物の塊にダランと寝そべったままでクーポは呟いた。
何も答えないままフービーはピクリともしない浮きを3時間も見つめていた。
「なー、帰えろーぜフービー!! やっぱ無理だわ!俺には探検は向いてねーよ!」
「おい、フービー!聞いてんのか?おい!フーーービーーーーィィィ!!」
その時、フービーの竿がビクンと動いた。と同時に凄い勢いで竿がしなる。
「ウオォォォォォ!!!!!凄い引きだ!! ダメだ、持ってかれる!」フービーが3時間ぶりに口を開いた。
「すげーぞ!大物だ!飯だ!やったー!!!」隣でダランと寝そべっていたクーポも一気にハイテンション。
「騒いでないで手伝え!!」フービーが2言目を喋った。
「ヨイセッ!ドッコラセッ!、、、。  ぬぉぉぉぉぉぉ!ぐはぁぁぁぁぁ!ぬぐぅぅぅぅぅぅ!ぎぁぁぁぁぁ!、、、」
「やったぁぁぁ!釣れたぞぉぉぉ!、、、、。    うをぉぉぉぉぉ!何じゃこいつぁぁぁ!」
「さっきからウルセーな。てめーは声だけで俺が一人で釣ったようなもんじゃねーか!」3言目をフービーが言うと、
「お前なんでそんな冷静なんだ?こいつ見て驚かんのか?ていうか、、、魚かこいつは?」
無理も無い。二人が吊り上げたのは体長15メートルはあろうかというかつて見たことも無いグロテスクな生き物で
稚拙な表現をするなら まさに怪獣であった。
緑色のヌメヌメした表皮に覆われて、その巨体とは相反して鼻くそ位の小さな赤い目。人間をひと飲みできる程の大きな
口からはトラックのタイヤでも噛み切る程の鋭い歯。カエルになる前のおたまじゃくしのような水かきのある小さな手足。
「おい!フービー!こいつぁ何だ?気味悪いし、第一食えんのか?つーかどうやって料理する?まだ全然生きてるし、
下手に手ぇ出したら俺達が食われるぜ!このままくたばるの待つか?何時間くらいで死ぬか?ていうか鰓呼吸か?、、、」
興奮して矢継ぎ早に質問してくるクーポに対し4言目をフービーが発した。
「こいつが何かなんて知るはずもねーし、食えるかどーかは食ってみなきゃ分かんねーし、食わなきゃ俺たちが餓死するって事だ。嫌なら食うな!」

「でもよー、俺はもともとデリケートな体質でこんな見たこともねー生き物を食うのはちょっとなー?」クーポが言うと、
「クーポ!俺たちが毎日食ってるものも何なのかさっぱり分かんねーだろうが!第一、嫌がる俺の意見を曲げてまで行こうって言ったのはてめえだろうがぁ!あのルポポゾックゥワギュフェ体操がなけりゃあ、生きるにゃあそんな不便はなかっただろうがぁ!ダイルの言う通り待ってりゃあ良かったんだよ!」いつもは冷静なフービーが珍しく声を荒げた。

無理も無い。二人が居るこの場所は火星。しかもすべての設備が整った地球人専用居住区のコロニーから北へ30キロ程行った砂漠のオアシスである。

2011年3月14日月曜日

久々の

久々の復活です。

理由は聞かないで下さい。

これからはぼちぼち更新していきます。・・・多分