2011年3月16日水曜日

「23XX年」 第1章 プロローグ

「なーんか全然釣れねーなー!」9角形の鉱物の塊にダランと寝そべったままでクーポは呟いた。
何も答えないままフービーはピクリともしない浮きを3時間も見つめていた。
「なー、帰えろーぜフービー!! やっぱ無理だわ!俺には探検は向いてねーよ!」
「おい、フービー!聞いてんのか?おい!フーーービーーーーィィィ!!」
その時、フービーの竿がビクンと動いた。と同時に凄い勢いで竿がしなる。
「ウオォォォォォ!!!!!凄い引きだ!! ダメだ、持ってかれる!」フービーが3時間ぶりに口を開いた。
「すげーぞ!大物だ!飯だ!やったー!!!」隣でダランと寝そべっていたクーポも一気にハイテンション。
「騒いでないで手伝え!!」フービーが2言目を喋った。
「ヨイセッ!ドッコラセッ!、、、。  ぬぉぉぉぉぉぉ!ぐはぁぁぁぁぁ!ぬぐぅぅぅぅぅぅ!ぎぁぁぁぁぁ!、、、」
「やったぁぁぁ!釣れたぞぉぉぉ!、、、、。    うをぉぉぉぉぉ!何じゃこいつぁぁぁ!」
「さっきからウルセーな。てめーは声だけで俺が一人で釣ったようなもんじゃねーか!」3言目をフービーが言うと、
「お前なんでそんな冷静なんだ?こいつ見て驚かんのか?ていうか、、、魚かこいつは?」
無理も無い。二人が吊り上げたのは体長15メートルはあろうかというかつて見たことも無いグロテスクな生き物で
稚拙な表現をするなら まさに怪獣であった。
緑色のヌメヌメした表皮に覆われて、その巨体とは相反して鼻くそ位の小さな赤い目。人間をひと飲みできる程の大きな
口からはトラックのタイヤでも噛み切る程の鋭い歯。カエルになる前のおたまじゃくしのような水かきのある小さな手足。
「おい!フービー!こいつぁ何だ?気味悪いし、第一食えんのか?つーかどうやって料理する?まだ全然生きてるし、
下手に手ぇ出したら俺達が食われるぜ!このままくたばるの待つか?何時間くらいで死ぬか?ていうか鰓呼吸か?、、、」
興奮して矢継ぎ早に質問してくるクーポに対し4言目をフービーが発した。
「こいつが何かなんて知るはずもねーし、食えるかどーかは食ってみなきゃ分かんねーし、食わなきゃ俺たちが餓死するって事だ。嫌なら食うな!」

「でもよー、俺はもともとデリケートな体質でこんな見たこともねー生き物を食うのはちょっとなー?」クーポが言うと、
「クーポ!俺たちが毎日食ってるものも何なのかさっぱり分かんねーだろうが!第一、嫌がる俺の意見を曲げてまで行こうって言ったのはてめえだろうがぁ!あのルポポゾックゥワギュフェ体操がなけりゃあ、生きるにゃあそんな不便はなかっただろうがぁ!ダイルの言う通り待ってりゃあ良かったんだよ!」いつもは冷静なフービーが珍しく声を荒げた。

無理も無い。二人が居るこの場所は火星。しかもすべての設備が整った地球人専用居住区のコロニーから北へ30キロ程行った砂漠のオアシスである。

0 件のコメント:

コメントを投稿